第11回 Stock Card(在庫台帳)とは
◆Stock Cardとは何か
在庫資産を正確に把握するために、在庫が会計上どのように処理されていくか、その履歴を記載するための台帳を作成すること必要です。
この台帳のことをStock Cardといい、在庫台帳などとも和訳されています。
Stock Cardは税務署から照会があった時に提示が義務付けられています。
日本ではあまりなじみがありませんが、事務作業が膨大なため、専任のタイ人ローカルスタッフを置くケースも少なくありません。
しっかりと理解し、把握しておく必要があります。
Stock Cardには在庫の数量と在庫金額の情報が記載されています。市場の変化もあり単価は常に変動しています。
輸入品であれば為替レートによっても変わってきます。
また、輸入関税も含めるのであればそれらも明記しなければなりません。
◆税務署に申告が必要な在庫処理方式と在庫計算方式
事業を行うにあたって企業は、在庫処理方式と在庫計算方式をあらかじめ税務署に申告しておくことが求められています。
在庫処理方式には大きく2つあり、①Perpetual Inventoryと②Periodic Inventoryです。前者①を「リアルタイム在庫引き落としタイプ」、後者②を「月次棚卸タイプ」といいます。
リアルタイム在庫引き落としタイプは管理が厳しいことから、タイでは多くのケースで後者の月次棚卸タイプが採用されています。
月初と月末の在庫を1カ月ごとに入力し、処理していく方法です。
ところが、1カ月単位をまとめて入力するため、ここでは在庫の履歴を把握することができません。この時に必要となってくるのがStock Cardというわけです。
在庫計算方式には大きく3つあります。
①FIFO (First in First out)=先入先出方式
②LIFO (Last in First out)=後入先出方式
③Average=平均による方式
タイでは、①FIFOまたは、③Averageのいずれかによる計算が多く採用されています。
◆Stock CardにはInvoice番号などリンクが必要
Stock Cardには仕入先からのInvoice番号、Customer P/O(注文書)番号、販売であれば顧客へのInvoice番号などさまざまな情報との関連も求められます。
また、どの最終完成品のために使われたものなのかなど製造指示番号といった情報とのリンクも必要となってきます。
つまるところ、このような多様な処理に対応したソフトウエアによる一元的な管理が必須となるのです。
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